b 被爆者援護法第3章第3節の医療給付中,同法10条の医療の給付については,厚生大臣(現厚生労働大臣)がその指定した医療機関に委託して,診察(被爆者援護法10条2項1号),薬剤又は治療材料の支給(同項2号),医学的処置,手術及びその他の治療並びに施術(同項3号),居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護(同項4号),病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護(同項5号),移送(同項6号)を給付するものであり,また,同法18条の一般疾病医療費の支給も,都道府県知事により指定された被爆者一般疾病医療機関において医療を受けた場合に,厚生大臣がその費用の支給を行うものであり,日本に居住も現在もしない者に対する医療給付は予定されていないが,これは,給付の前提として指定医療機関及び被爆者一般疾病医療機関の指定・監督の問題があるほか,国家主権に由来する対他国家不干渉義務に反するおそれがあり,また,本邦以外では実施が事実上困難であることによるものと解される。