渡日治療の在韓被爆者、がん発見率4.7%の高率


(朝日新聞ニュース アサヒ・コム 2001年7月31日より)



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広島・長崎で被爆し、韓国に住む人たちで、日本に招かれ「渡日治療」を受けた人のがん発見率が、4.7%の高い割合に達していることが、広島市の民間病院の調べでわかった。その約9割は、爆心地から2.5キロ未満で被爆していた。在韓被爆者の日本でのまとまった診療結果が判明したのは初めて。

 84年から渡日治療に訪れた在韓被爆者延べ約450人の8割近くを受け入れている広島市中区の河村病院がまとめた。

 84年12月から今年7月の間に、同病院が検診した337人(男184人、女153人、平均年齢66.4歳)のうち16人(男11人、女5人)から、がんが見つかった。

 内訳は胃がん11人、大腸がん3人、食道がん、子宮がんなど。爆心地からの距離と発見率の関係は、1.5〜2キロ未満=9.8%▽2〜2.5キロ未満=5.5%▽1〜1.5キロ未満=5.3%の順に高く、がん患者の87.5%が2.5キロ未満に集中していた。

 厚生労働省によると、老人保健法による市町村のがん検診での発見率は最も高い大腸がんで0.15%(99年度)という。

 河村病院の田原一優副院長は「渡日治療に来るのは自覚症状の軽い人で、在韓被爆者のほんの一部。そういう限られた集団だが、高い数字に驚いた。こうした機会がなければ、発見できない人も相当いるのでは」と話す。

 現在、韓国には約2200人の被爆者がいるとされている。渡日治療は、日韓両国政府が費用負担した80〜86年は延べ349人が受診。その後、民間団体が年間20〜30人を受け入れている。 (07:26)


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