阪南中央病院・郭貴勲さんの裁判を支える会
抗議声明

郭貴勲さん「被爆者援護法」裁判 日本政府、大阪府の控訴糾弾!


 日本政府は、6月1日大阪地裁での郭貴勲さん勝訴の判決に対して、本日15日正式に控訴を表明した。約5000人の在外被爆者に光を与えた人道的判決を踏みにじり、在外被爆者を再び深い失望の谷に突き落とすものである。戦後56年に及ぶ在外被爆者切り捨ての歴史に新たな1ページを加えたこの犯罪的行為を、満腔の怒りを込めて糾弾する!

 判決後の、郭貴勲さん本人の東京での法務大臣、厚生労働大臣への直接の控訴断念の要請、「在外被爆者議員懇談会」の良心的議員たちの国会での活動、厚生労働省前での二日間の被爆者団体の座り込み、平和団体からの要請文、そして職員・患者のみなさんにも協力いただいた市民からのFAX要請…。これら郭貴勲さん、そして在外被爆者への援護を求める願いと闘いは、一顧だにされず踏みにじられた。全く我慢ならない。全く許すことができない。

報道より知れる政府の控訴の具体的理由は、いずれも裁判の中で論争され、6月1日の判決で明確に否定されたものばかりである。にもかかわらず厚生労働省の官僚たちは、裁判の過程を知らず、ろくに判決文を読んでもいない厚生労働大臣はじめ政府関係者たちに、まだ決着がついていないかのように控訴すべしと説得をして回っていたという。しかもそれを、郭貴勲さんや市民からの控訴取りやめの要請が行われている裏側でこっそり進めていたのだ。何たる卑劣!何たる狡猾(こうかつ)! そして在外被爆者の援護に関心のない大臣、与党政治家たちは、官僚たちに見事に言いくるめられたのである。狡猾、卑劣な官僚と無関心と排外主義の染みついた政治家たち(あれは外国人の問題でしょ、と平気で言う議員もいたという)に、6/1判決が示した法の正義は踏みにじられた。

 6/1判決は、厚生労働省の402号通達による在外被爆者への援護法打ち切りを、「被爆者援護法の根本的趣旨目的に反する」、そして国内に住む被爆者と海外に住む被爆者の間に差別を生み、法の下の平等を定めた「憲法14条に違反するおそれ」があると明快に指摘している。ここまで完膚無きまでに批判されながらの控訴にはどこをどうみても道理がない。この控訴は、これまでの政策の誤りを絶対に認めたがらないメンツと保身、そして他の戦後補償への波及を恐れる戦後補償問題への敵意の固まりであり、在外被爆者5000人が死に絶えるまでの時間稼ぎのためのものでしかない。なんと理不尽で、非人間的な国なのか。この国の政府、政治家、官僚たちの反民主的、非人道的本質を私たちは今、見せつけられている。

 私たちは、このような政府、国家を頂いていることを、自らの恥としなければならない。そしてその恥を怒りに変えなければならない。私たち支える会は、郭貴勲さんが闘いとった6/1大阪地裁判決を新たな武器として、そしてこの控訴に対する抑えようのない怒りを、控訴審支援のエネルギーに変えていきたい。そしてみなさんとともに控訴審勝訴を闘い取るための新たな闘いを開始したい。

みなさん、この怒りをバネに郭貴勲さん裁判控訴審をさらに強力に支援しましょう!

阪南中央病院・郭貴勲さんの裁判を支える会(2001年6月15日)


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