抗議声明
在韓被爆者訴訟大阪地裁判決国側控訴糾弾!
2001年6月16日
日本製鉄元徴用工裁判を支援する会
六月一日、大阪地裁は、在韓被爆者・郭貴勲さんが健康管理手当ての支給を求めた裁判の判決で、原告勝訴の画期的判決を下した。
判決は「被爆者援護法は、被爆者が今なお置かれている悲惨な実情に鑑み、人道的見地から被爆者の救済を図ることを目的にしたもの」「日本に居住又は現在することが『被爆者』たる地位の効力存続用件であるという解釈は、その人道的見地に反する結果を招来するものであって、同法の根本的な趣旨目的に相反するものといわざるを得ない」「かかる解釈に基づく運用は、日本に居住している者と日本に現在していない者との間に、容易に説明しがたい差別を生じさせることになるから、憲法一四条に反するおそれもある」と、明快に日本政府を断罪した。これを受けて、私たちは六月一三日の供託金問題法務省交渉の場でも、控訴を行わないよう申し入れた。
ところが、日本政府は控訴期限の六月一五日に不当にも控訴した。坂口厚生労働相は、@九九年の広島地裁判決で国側が勝訴しているA援護法の審議過程で担当局長が「国内に居住している者を対象としている」と答弁し、すべての被爆者を対象とする修正案が否決され立法者の意思も明らか、という二点を控訴理由として上げた。
しかし、戦後補償立法としては唯一国籍条項を設けなかった被爆者援護法の根本的立法趣旨をねじ曲げているのが日本政府や国会の側であることを、「憲法違反」として断罪しているのが地裁判決だ。控訴を強行したことは日本政府の非人道性、差別性をまた世界にさらしたばかりか、ハンセン病国賠訴訟熊本地裁判決で、「人道的立場」から控訴を断念したことと全く矛盾するものであり、断じて許せないものである。
日鉄支援する会からも代表を派遣したILO総会(六月)では、三月に条約勧告適用専門家委員会が強制労働・「慰安婦」をILO二九号条約違反と再び認定したことを受けて、労働側委員の会議では多数の委員が総会の議題として取り上げるべきとの意見を表明し、初めて労働側から提出される議題案の中に入った。政府側・使用者側委員の反対で総会議題とはならなかったが、日本政府の国際的孤立を決定付けたと言える。
正義はアジアの被害者の側にある。ハンセン病国賠訴訟の闘いに学び、大詰めを迎える裁判闘争勝利に全力をあげるとともに、国会・日本政府を追い詰める闘いを一層強化する決意である。
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