6/1被爆者援護法訴訟大阪地裁判決の
国側控訴断念を求める
大阪地裁は6月1日、在外被爆者に援護法の適用を求めた郭貴勲さんの訴えを認め、在外被爆者にも被爆者援護法を適用し、居住地にかかわりなく、差別なく被爆者の救済に当たるよう国と大阪府に命じる判決を下した。
高齢に達している在外の被爆者の現状を踏まえ、半世紀以上をへてようやく司法の場で人道的な判断が下されたことは、高く評価されるべきである。被爆者援護法は、被爆者救済の人道的立法であり、もともと国籍条項は含まれていなかったのであるから、厚生省公衆衛生局長通達によって在外被爆者を排除してきた行為は、判決が指摘するとおり誤った運用であり、憲法違反であり、不当な差別であった。
国と大阪府は、この判決を受け入れ、すみやかに控訴を断念し、74年局長通達を廃止し、在外被爆者全員に謝罪するとともに、ただちに被爆者援護法にもとづいて在外被爆者への援護措置を実施すべきである。
長年にわたって被害者らに強いてきた苦痛と差別に対し心より謝罪し、より充実した援護政策・措置を行うべきである。また、それらの援護政策・措置は平等かつ迅速に実施されるべきであり、国交のない朝鮮民主主義人民共和国や遠く離れた南米諸国の被爆者らが不利益を被ることのないよう充分配慮し、関係国政府や国際機関、NGOの理解と協力を得て実施すべきである。
とくに被爆1世に残された時間がないことを充分留意し、ドイツ政府の戦争被害者に対する対応を見習い、被害者らの心身の癒しに寄与するよう誠実に対応すべきであって、さらに時間を引き延ばし、在外被爆者にこれ以上の苦痛を与えるようなことはあってはならない。
私たちはかねてより、日本政府が主体的かつ率先して日本軍による各国の戦争被害者に謝罪と補償をすべきであると提唱し、その立法解決を訴えてきた。
日本政府は、かくも長きにわたり多くの戦後処理を放置してきた無責任をいまこそ深く恥じ、真摯に反省すべきである。そして一刻も早く戦後処理を果たすべく国会とも充分に協議し、すみやかに立法作業に着手すべきである。
今回の判決が確定し、他の戦後補償裁判にも良い影響を与えることを願ってやまない。
2001年6月11日
戦後処理の立法を求める法律家・有識者の会
会長 土屋 公献 (元日本弁護士連合会会長)
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