在外被爆者への「被爆者援護法」適用を求める要望書

2000年11月13日

広島市長 秋葉忠利様
長崎市長 伊藤一長様

在外被爆者への「被爆者援護法」適用を求める要望書


 1945年8月、広島、長崎において、原子爆弾によって筆舌に尽くしがたい惨禍を経験した被爆者は、今なお心とからだに深い傷を負って暮らしています。日本では、戦後、こうした被爆者のための法律が制定され、不十分ながらも無料治療や各種手当制度が整備されてきました。被爆50年を前にした1994年には、被爆者援護法も成立しました。
 しかし、被爆者援護の進展のなかで、大きく取り残された課題があります。それは海外在住被爆者への援護問題です。現在、海外在住被爆者(在外被爆者)が、苦労して日本にやってきて「被爆者健康手帳」の交付を受け、健康管理手当の受給資格を認定されても、いったん日本を出国すると、被爆者としての地位を失権させる取り扱いを受けてしまいます。したがって被爆者として獲得した権利がすべて、出国とともに自動的に剥奪されてしまうのです。
 ところが、こうした被爆者の権利に関する取り扱いについて、被爆者援護法にも、それ以前の被爆者法にも、「失権の取り扱い」をすることを定めた条文は存在しません。厚生省は、「失権の取り扱い」をすることを定めた条文は存在しません。厚生省は、1974年に出した公衆衛生局長過連を唯一拠り所として、こうした切り捨てを続けてきているのです。
 私たちは、いったん日本国が認定した「被爆者としての地位」は、日本を出国しようと引きつづき滞在しようと、それとは無関係に存続するものであると考えます。日本を出国しようとも、被爆者であることに変わりはないのです。
 在外被爆者は、今日、高齢化し、ますます健康と生活の不安に脅かされています。国境を超えて平和と人権の尊重が追求されている現在、原爆後障害に苦しむ在外被爆者に、一刻も早く、せめて日本の被爆者と同等の援護が行なわれることが切実に求められているのです。
 そこで私たちは、下記の二点を心から要望いたします。

一、

一、いったん被爆者として認定され「被爆者健康手帳」の交付を受けたすべての在外被爆者に対して、居住、現在の条件に関わりなく、被爆者としての援護を引きつづき行うことができるよう、被爆地の市長として、厚生省に働きかけること。
二、在外被爆者の援護のために市としてなしうる施策を検討し早急に実行すること。

韓国原爆被害者協会             会長 李鳳儀 印

米国原爆被爆者協会             会長 友沢光男 印

在ブラジル原爆被爆者協会         会長 森田隆 印

韓国の原爆被害者を救援する市民の会  会長 市場淳子 印

在韓被爆者問題市民会議          代表 中島奄美 印

日本原水爆被害者団体協議会       代表 坪井直 印




【連絡先】
560−0003 大阪府豊中市東豊中町4−21−10、市場方 
韓国の原爆被害者を救援する市民の会
電話/FAX  06−6854−7308


在外在住被爆者の援護に関する要請書へもどる

在外被爆者にも被爆者援護法の適用を!へもどる