第1回口頭弁論報告 |
李康寧さんが、七月十三日十三時三○分から長崎地裁で開かれた第一回口頭弁論において原告陳述を行った。時間は十分間くらい。第1回口頭弁論の通知がきたのが期日が切迫してからだったために、李さんとしても準備する時間が足りなかったであろうと、緊張して聞いた。しかし、明確な言葉で礼儀正しく、裁判官にむかって陳述する李さんを見て、安心した。
李さんは戸畑で生まれ育ち、長崎の三菱兵器製作所大橋工場に徴用され、そこで原爆にあったこと、自身が体験した原爆被害の惨状、裁判にふみきった経過を陳述し、最後に「どこに住んでいても、日本で原爆をうけた被爆者である。内鮮一体といいつつ、創氏改名までさせ、大東亜戦争に強制連行・強制労働を課して、間違いなく日本人として戦争に協力させた。それを差別するとは理解できない。わたしは日本国のために忠誠を尽くした。日本の将来と平和に尽くす努力をしてきた。それにもかかわらず、『在外』被爆者というのは不適当である。裁判官の公正な判断を要請する」と陳述の最後を結んだ。
この裁判の開始前と終了後の二回にわたって、李康寧さん裁判を支援する市民による支援の集会が裁判所の入り口で開かれた。金順吉裁判を支援してきた市民と今回の裁判支援者とはほとんど同じである。長崎以外に在住する関西以西の少なくない市民の熱烈な支援をえている。
(韓国の原爆被害者を救援する市民の会会報「早く援護を!」108号より)