朝日新聞ニュース   2001.9.5 


伊藤市長、局長通達見直し訴え

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伊藤市長、局長通達見直し訴え

 長崎市の伊藤一長市長は、4日に厚生労働省で開かれた「在外被爆者に関する検討会」の第2回会合で、「国籍条項がないまま、局長通達によって(援護に)歯止めがかかっている」などと話し、海外居住者には被爆者援護法を適用しないとした旧厚生省公衆衛生局長通達の見直しを訴えた。

 同法に基づく健康管理手当をめぐっては、元徴用工の李康寧(イ・カン・ニョン)さん(73)=韓国・釜山市在住=が長崎市などを相手取り、手当の支給などを求める訴訟を起こしている。伊藤市長は「訴訟に関してはコメントしない」としたうえで、「局長通達が見直されれば、現行の法律でもかなりの援護が可能になる」と主張した。

 伊藤市長は、徴用工や捕虜を含む多くの外国人が同市で被爆したことや、市が実施している在外被爆者支援事業などについても説明。国が在外被爆者の実態を把握するための調査を行い、渡日治療の制度を整備することなどを求めた。

 検討会終了後に伊藤市長は「日本にいても海外にいても、被爆者であることには変わりない。在外被爆者を援護することは、日本政府が国際社会での信頼感を高めることになる」と話した。

 検討会は坂口力厚労相の私的諮問機関で、8月1日に初会合があった。今年6月、在外被爆者に被爆者援護法を適用することの是非を争った訴訟で国が敗訴したことから、坂口厚労相が国外に住む被爆者の新たな救済策を検討するために設置した。年内にも報告書をまとめる。




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