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在外被爆者、政府施策関連の動き(2003年2月以降)
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昨年12月5日の大阪高裁判決が確定したことを受け、今後、日本において被爆者健康手帳(以下「手帳」という。)を取得し、手当の支給認定を受けた方が出国した後も引き続き手当を支給することとなりました。また、過去にいったん手当の支給認定を受けていて、出国したことにより手当が支給されなくなった方については、地方自治法上の時効(5年)により消滅していない分の未払手当を支払うこととしました。どのような方が適用対象となるのか等については、以下のQ&Aを参照してください。
Q1 | 在外被爆者に対する手当はだれが支給するのですか? |
A1 | 日本で手当を支給していた都道府県、広島市又は長崎市が引き続き支給することとなります。過去5年間の未払手当についても、離日前に手当を支給していた都道府県、広島市又は長崎市から支給されます。 |
Q2 | 健康管理手当以外の手当も対象になるのですか? |
A2 | 健康管理手当以外にも、医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当及び保健手当が対象となります。それぞれの手当の支給要件等は別紙1のとおりです。 |
Q3 | 過去5年分の手当を受給できるということですが、具体的にはどういうことですか?例えば、11年前に来日し、健康管理手当の支給認定を受けた人(支給期間5年間)についても、5年分の未払手当がもらえるのですか? |
A3 | 過去に、いったん手当の支給認定を受けていて、出国したことにより手当が支給されなくなった方については、支給認定期間の未支給期間分の手当について、地方自治法上の時効(5年)にかかっていない分の手当が支給されます。 具体的には、平成14年12月からさかのぼって5年前、すなわち、平成9年12月分以降の未払手当を支給することとなります。 したがって、11年前に来日し、健康管理手当の支給認定を受けた方(支給期間5年間)については、平成9年12月分より前の手当になりますので、手当を支給することはできません。 |
Q4 | 未払手当がある場合、どこに連絡をすればいいのですか?また、どのような手続が必要なのですか? |
A4 | 手当の支給認定を受けた都道府県、広島市又は長崎市の担当課(別紙2)に連絡してください。 既に都道府県、広島市又は長崎市から手当の支給認定を受けているので、新たに申請をする必要はありません。ただし、御本人であることの確認(具体的には、身分証明書在留証明書、住民票など氏名と生年月日が分かるもの)や手帳及び手当証書の写しの提出)や、現在の住所、手当を振り込むための口座番号の確認が必要になりますので、これらが確認できる書類を、手当の支給認定を受けた都道府県、広島市又は長崎市に提出していただくことになります。 |
Q5 | 過去5年間に何回か渡日し、別の都道府県から手当の支給を受けていました。このような場合、未払手当はどの都道府県に連絡したらいいのですか? | ||||
A5 | このような場合は、過去に手当を支給されていたすべての都道府県、広島市又は長崎市に連絡をしてください。未払期間が重複している場合は、最後に認定を受けた都道府県、広島市又は長崎市から支給されます。 例えば、次のような方の場合は、このようになります。
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Q6 | 手帳取得者が既に死亡しており、その人に未払手当がある場合は、どうなるのですか? |
A6 | 未払手当がある方が既に死亡している場合には、その方が死亡した月までの未払手当を、その方の相続人に支給することになります。相続人に未払手当を支給するにあたっては、死亡した方の死亡事実を証する書類、死亡した方と相続人との相続関係を証する書類などが必要になります。 |
Q7 | 新たに手当の支給申請をするにはどうしたらいいのですか?国外から申請することもできるのですか? |
A7 | 手帳を交付された方が新たに手当の支給申請をするには、来日し、その現在地の都道府県知事(広島市及び長崎市にあっては、当該市の長)に申請する必要がありますので、国外から申請することはできません。また、申請に当たり、診断書が必要な場合には、日本の医療機関の診断書を添付することが必要です。 |
Q8 | 政省令改正までの間に、渡日し、手当の支給申請をし、政省令改正前に出国した人については、どうなるのですか? | ||||||
A8 | 政省令改正前ですので、基本的には従前どおりの取扱いとなり、手当の支給認定を受けた方については、申請日の属する月の翌月から出国する日の属する月までの手当が支給されます。なお、日本において手当の支給申請がなされた後認定を受ける前に出国した方については、その方が手当の支給要件を満たしている限りは、出国後であっても認定を受けることができます。具体的には、次のようになります。
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Q9 | 手当の支給申請のために渡日する場合には、平成14年度から始まった渡日支援事業の対象となるのですか? |
A9 | 渡日支援事業は、渡日治療及び手帳交付を目的としているものであり、手当の支給申請のために渡日する場合には、本事業を利用することはできません。 |
Q10 | 今後新たに手当の支給申請をした人が、認定を受けるまでの間に死亡した場合にはどうなるのですか。 |
A10 | 国内の場合と同様に、申請日の属する月の翌月からその方が死亡した月までの手当を、その方の相続人に支給することになります。相続人に未払手当を支給するにあたっては、死亡した方の死亡事実を証する書類、死亡した方と相続人との相続関係を証する書類などが必要になります。 |
Q11 | 過去に、渡日して手帳を取得しましたが、手当の支給申請をしていません。このような場合には、どうなるのですか? |
A11 | 手当の支給申請をしておらず、支給認定を受けていない方については、手当受給権が発生していないことから、法律上、遡って手当の支給をすることはできません。 今後、来日し、新たに手当の支給申請をして手当の支給認定を受けた場合には、申請日の属する月の翌月から手当を受給することができます。 |
Q12 | 過去に、渡日して取得した手帳を持っています。この手帳は、再度申請しなくても有効なのですか?以前、手帳の更新の制度があった時に取得した手帳には更新期限が記載されていますが、更新期限を経過した手帳はどうなるのですか? |
A12 | 再度手帳交付の申請をしなくても、現在所持している手帳は有効となります。複数回手帳の交付を受けている方については、最後に交付を受けた手帳が有効となります。手帳の更新については平成11年度をもって廃止されたので、現時点で更新期限を経過している手帳もそのまま有効なものとなります。したがって、仮に、更新期限を経過した手帳を持っている方に未払手当があった場合(例えば、平成9年10月に来日し、手帳を取得し、手当の支給認定を受けた方が、平成10年1月に離日し、その後、来日していない場合)には、再度来日し新たな手帳を取得しなくても、本人確認の上、未払手当の支給がなされることとなります。 なお、更新期限を経過した手帳を持っている方については、来日して、国内への居住地(居住地を有しないときは、その現在地)変更の届出をした際に、新たな手帳の交付を受けることができます。 |
Q13 | 過去に、渡日して手帳を取得しましたが、その後、手帳を紛失してしまいました。このような場合はどうすればよいのですか? |
A13 | 国外から手帳の再交付の申請をすることができます。ただし、本人確認ができない場合は、改めて手帳交付の申請をしてもらうこともあります。 |
医療特別手当
(1)手当を支給される人
医療特別手当は、原子爆弾の傷害作用により現に治療を要するけがや病気の状態にあるという厚生労働大臣の認定をうけた被爆者であって、現在、認定をうけたけがや病気の状態が続いている人に支給されます。 |
(2)手当の額
支給される手当の額は、毎月139,600円(平成14年度の支給単価)です。 |
(3)手当をうけるための手続
手当をうけるためには、申請書に、認定をうけたけがや病気についての厚生労働大臣が指定した医療機関等の医師の診断書を添えて都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に提出してください。提出した申請書によって、手当支給の認定をされると医療特別手当証書が送られ、手当は、申請した月の翌月から毎月支給されます。 |
(4)手当をうけている人の届出
手当をうけている人は、3年目ごとの5月には診断書を添えて認定をうけたけがや病気についての届けを提出しなければなりません。このほか、氏名、居住地を変更したとき、認定をうけたけがや病気が治ったときは、そのつど都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に届け出なければなりません。認定をうけたけがや病気が治ったときは、医療特別手当証書を、都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に返還しなければなりません。 |
特別手当
(1)手当を支給される人
特別手当は、原子爆弾の傷害作用により治療を要するけがや病気の状態にあるという厚生労働大臣の認定をうけた被爆者であって、認定をうけたけがや病気が治った人に支給されます。ただし、医療特別手当の支給をうける人には特別手当は支給されません。 |
(2)手当の額
支給される手当の額は、毎月51,550円(平成14年度の支給単価)です。 |
(3)手当をうけるための手続
手当をうけるためには、申請書を都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に提出して下さい。 提出した申請書によって、手当支給の認定をされると特別手当証書が送られ、手当は、申請した月の翌月から毎月支給されます。 |
(4)手当をうけている人の届出
手当をうけている人は、氏名、居住地を変更したときは、そのつど都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に届け出なければなりません。 |
原子爆弾小頭症手当
(1)手当を支給される人
原子爆弾小頭症手当は、原子爆弾の放射線の影響による小頭症の患者に支給されます。 |
(2)手当の額
支給される手当の額は、毎月48,050円(平成14年度の支給単価)です。 |
(3)手当をうけるための手続
手当をうけるためには、申請書に、原子爆弾の放射線の影響による小頭症についての厚生労働大臣が指定した医療機関等の医師の診断書を添えて都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に提出して下さい。提出した申請書によって、手当支給の認定をされると原子爆弾小頭症手当証書が送られ、手当は、申請した月の翌月から毎月支給されます。 |
(4)手当をうけている人の届出
手当をうけている人は、氏名、居住地を変更したときは、そのつど都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に届け出なければなりません。 |
健康管理手当
(1)手当を支給される人
健康管理手当は、被爆者のうち、次の障害を伴う病気(原子爆弾の放射線の影響によるものでないことが明らかなものを除きます)にかかっている人に支給されます。
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(2)手当の額
支給される手当の額は、毎月34,330円(平成14年度の支給単価)です。 |
(3)手当をうけるための手続
手当をうけるためには、申請書に障害を伴う病気についての都道府県知事が指定した医療機関等の医師の診断書を添えて都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に提出して下さい。 提出した申請書によって、手当支給の認定をされると健康管理手当証書が送られ、手当は、申請した月の翌月から毎月支給されます。 手当をうけられる期間は、申請した病気により都道府県知事(広島市、長崎市では市長)が決め、その期間は、最高5年です。(病気が続いていれば、あらためて申請をして認定されると手当をうけることができます。) |
(4)手当をうけている人の届出
手当をうけている人は、氏名、居住地を変更したとき、申請した病気が治ったときは、そのつど都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に届け出なければなりません。申請した病気が治ったときは、健康管理手当証書を都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に返還しなければなりません。 |
保健手当
(1)手当を支給される人
保健手当は、原爆投下の際、爆心地から2キロメートルの地域内で直接被爆した人と、その当時その人の胎児であった人に支給されます。 ただし、医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当または健康管理手当の支給をうけている人には、保健手当は支給されません。 |
(2)手当の額
支給される手当の額は、毎月17,220円(平成14年度の支給単価)ですが、原子爆弾の傷害作用の影響による身体上の障害(別添参照。原子爆弾の傷害作用の影響によるものでないことが明らかなものは除きます。)のある人には、毎月34,330円(平成14年度の支給単価)が支給されます。 |
(3)手当をうけるための手続
手当の支給をうけるためには、申請書に爆心地から2キロメートル以内で直接被爆した事実を認めることができる書類(この書類がない場合には、その事実についての本人の申立書)を添えて都道府県知事(広島市、長崎市では市長)に提出して下さい。 ただし、この書類のほか、身体上の障害(別添)があることで月額34,300円(平成14年度)の保健手当をうけようとする人は、身体上の障害についての都道府県知事が指定した医療機関等の医師又は歯科医師の診断書を添えなければなりません。 提出した申請書によって、手当支給の認定をされると保健手当証書が送られ、手当は、申請した月の翌月から毎月支給されます。 なお、保健手当をうけていたものの、健康管理手当をうけることとなって、保健手当が支給されなくなった人について、その後、健康管理手当の対象となっていた病気が治り、健康管理手当の支給が終了したときは、保健手当の支給を再開させることができますが、そのためには、再度、保健手当の申請の手続きが必要です。 |
保健手当が増額される身体上の障害の程度とは次のものをいいます。
(1) | 両眼の視力の和が0.08以下のもの |
(2) | 両耳の聴力損失が80デシベル以上のもの |
(3) | 平衡機能に極めて著しい障害を有するもの |
(4) | 音声または言語機能を喪失したもの |
(5) | 両上肢のおや指およびひとさし指を欠くもの |
(6) | 両上肢のおや指およびひとさし指の機能に著しい障害を有するもの |
(7) | 一上肢の機能に著しい障害を有するもの |
(8) | 一上肢のすべての指を欠くもの |
(9) | 一上肢のすべての指の機能を全廃したもの |
(10) | 両下肢をショパール関節(足の甲と土ふまずの中央を結ぶ関節)以上で欠くもの |
(11) | 両下肢の機能に著しい障害を有するもの |
(12) | 一下肢を大腿の2分の1以上で欠くもの |
(13) | 一下肢の機能を全廃したもの |
(14) | 体幹の機能に歩くことが困難な程度の障害を有するもの |
(15) | 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、家庭内での日常生活が著しい制限を受けるか、または家庭内での日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
(16) | 身体の機能の障害または病状が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められるもの |
(17) | 頭部、顔面等に日常生活を営むのに著しい制限を受ける程度の醜状を残すもの
〈備考〉 視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によって測定する。 |