内閣総理大臣 小泉純一郎 様
厚生労働大臣 坂口 力 様
法務大臣 森山 真弓 様
郭貴勲さんの裁判で国が控訴したことに対する抗議文
大阪地裁は6月1日、郭貴勲(韓国原爆被害者協議会元会長)裁判に対し、国と大阪府に、被爆者健康手帳を有効と認め、健康管理手当ての未払い分の支払いと今後の手当ての支給を命じました。憲法第14条違反のおそれありとしたこの判決は「人道的見地から被爆者救済を目的にした被爆者援護法の趣旨に反する」としており、原爆後障害と貧困の悪循環の中で苦しみ続けた在外被爆者に一筋の光明をあてたかに思えました。
しかし、日本政府は「国が著しく人権を侵害したわけではない」として控訴、国内外の被爆者及び家族、支援団体に大きな失望と怒りが湧き起こっています。
56年間、無援護状態に追いやられている被爆者達は、一度たりとも日本政府による実態調査さえ受けたことがないのです。
今回の控訴は高齢化する在外被爆者たちの死を待つかのごとき暴挙であり、「援護法」には国籍条項も居住条件も、死亡したとき以外の失権規定もないことを厚生労働省は意図的に無視しているとしか思えません。
私たち部落解放同盟広島県連合会としては「あらゆる差別の撤廃を求める」という立場から、この控訴に強く抗議し、控訴撤回を求めるとともに、日本政府が在外被爆者に対する差別を速やかに改め、援護法の正しい適用と差別行政によって奪われてきた被爆者たちの人権を回復する有効な措置をとることを早急に求めます。
2001年7月9日
部落解放同盟広島県連合会
委員長代行 政平 智春
yuu@hiroshima-cdas.or.jp